快適に暮らすには、外部からの騒音や物音に邪魔されない心地よい「音環境」も大切な要素です。住む家がいかに防音に配慮して建てられているか、それを客観的に表す評価基準が「住宅性能表示制度」の音環境、つまり遮音対策です。性能表示10項目のうち、音環境だけが選択制(オプション)となっていて表示は自由とされていますが、5等級で示され、戸建て住宅については等級1から等級3までの評価で表します。
隣家の話し声や階上の足音、子供が飛び跳ねたり走り回ったりする音など、音環境についてはどちらかと言えば共同住宅でクレームの原因となることが多いものです。こうした実態から性能表示の音環境は、「足音や物が落ちる音」「話し声」「騒音」の伝わりにくさを高める対策が、どの程度とられているかについて評価するものです。
戸建て住宅では、外部からの騒音や室内の外部にもれる音に対して弱点となる外壁開口部(玄関ドアやサッシなど)について、空気伝搬音をどの程度遮断するかによって等級が定められています。開口部の評価は東西南北の方位別に行います。
等級3 | 特に優れた遮断性能 | 平均25db以上の遮音性能 (JIS等級T-2以上のサッシ・ドア) |
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等級2 | 優れた遮断性能 | 平均20db以上の遮音性能 (JIS等級T-1以上のサッシ・ドア) |
等級1 | 等級2に満たない程度 | 一般的なサッシ・ドア |
25db(デシベル)の遮音性能とは、ささやき声や木の葉のすれあう音よりやや大きめの音を遮断できる防音性能を表します。閑静な住宅地の騒音レベルは40~45dbとされていますから、そこからさらに25db相当の音を遮断した状態、かなり静かな音環境ということになります。JIS等級T-2以上のサッシとは、JISで規定されたサッシやドアで遮音等級がT-2以上のドアやサッシであるという意味。サッシでいうと複層ガラスの一重サッシや二重サッシなど防音効果の高いものに相当します。
20dbの遮音性能とは木の葉のすれあう程度の音を遮断できる防音性能。静けさを感じることができる音環境と言えるでしょう。JIS等級T-1以上とは、JISで規定されたサッシやドアで遮音等級がT-1以上のものであるという意味。複層の一重サッシや公称5㎜以上の単板ガラスの一重サッシ、断熱構造やアルミ製の出窓など、一般的なサッシ・ドアよりやや防音効果のあるレベルのものを指します。
隣家と壁を共有する共同住宅ほどではないものの、戸建て住宅でも二世帯構造が増えており、防音への配慮が必要になっています。リタイア世代が楽器演奏や手作り工芸など趣味を楽しむ時代、プライバシー空間の音環境がますます大切になってくるでしょう。暮らしやすさを考える時、これからは「音」の要素もお忘れなく。